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魂の色【銀魂短編夢】

第3章 アイの無い形(真選組逆ハーギャグ)


近藤に促されるまでもなく座っている沖田の隣に腰を降ろそうとすると、原田に「こっちこっち」と呼ばれる。

「失礼します」
「悪いな」

原田の隣に座ると、近藤が咳払いをし、先程沖田が持っていたものと同じスクラップを取り出した。

「先日吉原で騒動になった愛染香が持ち出されたらしい。犯人が密輸組織の天人だって事まではわかったんだが、相手が相手だけに、表だって検挙するわけにもいかん」
「つーわけで、ブツだけでも回収しろってお達しだ」
「先行して潜入するのは山崎。退路確保に原田と遼ちゃん。総悟と斉藤に回収を任せる。現場の指揮はトシが行うから、随時指示に従ってくれ」

随分珍しい布陣に、遼は少し考え込む。
副長指揮の下、隊長格三人が実働部隊というのは中々に贅沢だ。

「愛染香は強力だ。念のため、全員マスクを着用して臨むように。決行は山崎の報告をもって直ぐになるから、各自それまで待機してくれ。では、解散」

近藤の合図で散り散りに部屋を出て行く中、遼は一人渋い顔をしている。
気が付いた原田が声をかけた。

「どうした神武?」
「あ、いえ……何だか贅沢な任務だなって思いまして」
「まあな。今日は別件もあって、隊士が少ないし、天人相手の任務じゃあ失敗は許されないからな」

成る程と頷く遼に、原田は「それから」と話を続ける。

「人手不足だ」
「え?」
「今日も明日も、休みの隊士が多いんだよ。松平のとっつぁんの接待ゴルフやら、リフレッシュ休暇やらな」
「……そんな理由で選抜されたんですか?」
「そんなもんだ」

ガハハと笑う原田に、遼はとびきり大きな溜息を吐いた。
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