第16章 企画(沖田・新八夢)
どんがらガッシャンと、盛大な音が蔵中に鳴り響き、外から「何だ」「どうした」という声と共に人が流れ込んでくる。
一番に飛び込んできたのは、律儀に鬼と書かれたプレートを下げた土方で、目の前の状況が理解出来ずに暫し眉間に皺を寄せて立ちすくんだ。
「……何やってんだ?」
「いや、あの……ちょっとした事故で」
「それより神武、コレは何だ?」
一面に散らばる卑猥なアイテムを指差して尋ねられ、遼は躊躇いながらも「沖田さんが……」と、言葉を続ける。
遼が説明をするに連れ、土方の眉間の皺とこめかみの青筋がハッキリしていく。
「おい、神武」
「はっ、はい!」
「隠れてんのは、あと総悟だけだ。必ず時間内にしょっ引いて俺の前に引き摺って来い」
「え゙、いや、はいっ!行ってきます!!」
言うが早いか、遼は蔵を飛び出した。
間もなく見つけた沖田を捕まえて土方の前に差し出すと、タイミング良く時間切れの合図が鳴り響く。
アラームを切りながら、沖田はやれやれといった様子で溜息をついた。
「あーあ、遼のせいで、土方さんの一人勝ちじゃねぇですか」
「私のせいじゃないです。というか、沖田さんのせいで今日は散々なんですから……」
「俺のせいって何なんでぃ」
「何でもないですよ。それより副長、罰ゲームはどうするんですか?」
「んなもん決まってらァ。総悟、拷問用の蔵にある段ボールに覚えはあるな?」
苛立たしげな土方に、沖田は悪びれもせず「アレは拷問用具ですぜぃ」と暢気に答える。
「アレのどこが拷問用具だ!!」
怒鳴り上げながら追いかける土方と、飄々と逃げる沖田といういつもの展開が始まり、遼は重い溜息をついた。
「しょうもない事で疲れた……」
「相変わらず馬鹿で物騒な集団だな」
「銀ちゃん……言わないで、私たちが一番身に沁みてるから」
ふと顔を上げると、近付いて来た銀時の隣に立つ新八と目が合い、遼は不自然に顔を背ける。
「どうした、遼?」
「なっ、何でもない!」
何かに気付いた銀時は、明らかに動揺している遼の肩を抱き寄せ、そっと耳打ちした。