第16章 企画(沖田・新八夢)
緊迫した様子の新八の声に、遼は慌ててそちらに目線をやってしまう。
「何コレ───っ!!」
そちら方面の知識に疎い遼でもわかるデザインをしたソレを見てしまい、遼は一瞬思考停止した後、慌てて手を離す。
その瞬間、勢いよく動かした遼の腕が新八の腕を掠め、衝撃で新八はバランスを崩して遼の体に倒れこんだ。
「わっ、ぷ」
「うわっ、っ──!」
新八は、遼の胸に顔を埋める形になり、慌てて体を起こそうとするが、うまく手がつけず、その状況がますます焦りを増幅させる。
「すっ、すみませんっ!」
「んんっ……そこで喋らないでっ!」
「すみませんっ!!」
何とも言えない甘い声で訴える遼に、新八は謝罪の言葉を口にしつつ、腹の奥が熱くなるような感覚に襲われた。
(やっ、ヤバい!どうにかしないと!!)
欲望に負けそうになりながら、どうにか体を起こそうと新八が体をずらすと、堪らず遼が息を漏らす。
「んっ……ごめっ、新八くん、あんまり動かないで……っ」
「すっ、すみませんっ!!」
ますますドツボにはまっていき、新八は遼の胸の上に顔を埋めたまま動けなくなってしまった。
隊服越しとはいえ、遼が呼吸する度に胸が上下し、微かに聞こえる心音が、新八を一層欲情させる。
どうにか床に手を着いて体を上げるが、背後の段ボールが邪魔をして十分に遼との距離を取ることが出来ず、息が掛かる程近くにある互いの顔に更に緊張感を高めた。
目に見えてわかるほど、紅潮した頬。
少し潤んだ瞳。
あと少し、ほんの少しだけ近付けば触れあってしまう距離。
先に沈黙に耐えられなくなったのは遼だった。
「し、新八くん、眼鏡大丈夫?
ちょっとズレてるけど……」
「えっ、あ、大丈夫ですっ!」
遼の指摘に慌てて眼鏡をなおした新八は、体勢を立て直そうとして失敗する。
新八の右手は、遼の胸を鷲掴みするような形で置かれ、暫しの沈黙の後、事態に気付いた二人は悲鳴にも似た声を上げた。
「っ、きゃあぁぁっ!」
「うわぁぁぁぁっっ!!」
反射的に飛び退いた新八は当然段ボールに突っ込み、辺りに荷物を撒き散らしながらひっくり返る。