第16章 企画(沖田・新八夢)
「中に入ったら開かなくなっちまったんで、開けてもらえやすかぃ?」
「だっ、ダメですっ、んうっ!」
『おい遼っ、大丈夫か?!』
聞こえてきた銀時の声に、口を塞がれた遼は蒼白した表情で沖田を見上げた。
「いいねぇ、その顔」
「んーっ!」
「すいやせーん、何か遼が苦しそうなんで、早くしてもらえやすかー」
ぐっと壁に押し付けられ、遼は息苦しさに顔を顰める。
どうにかブラウスのボタンだけでも留めないと、と手を動かすが、手首を縛られている上に、焦りと緊張からうまく指がうごかず、汗で滑ってますますうまくいかなかった。
その間も扉を開けようとする音が響き、遼は更に追い詰められる。
『お、開きそうだ!』
その声に遼がびくりと震えた瞬間、沖田は遼の手首からスカーフを解いて抱きしめた。
「えっ、──?」
ガチャンと一つ大きな音がすると同時にロッカーの扉が開かれ、慌てた表情の銀時達が現れる。
「遼っ、大丈ぶっ──……えっ、何してんの?」
「ナニしてたんですぜぃ」
「してないっ!何にもしてないっ!!離して、沖田さんっっ!」
「良いんだな?」
ニヤリと笑ったその表情を見て、遼は自分の状況を思い出し、慌てて沖田にしがみついた。
「良くないです。すみませんでした、暫くこのままでお願いします」
「人間、素直が一番だぜ」
「いやいやいや、何この状況?」
「旦那、開けて貰って何なんですが、遼がまだ楽しみたいってんで、後ろの奴ら連れて出てってもらえやすか」
銀時は、沖田に抱きついたまま離れない遼の姿を上から下まで確認すると、ある程度状況を理解する。
「しゃあねぇな。けどよ、総一郎くん……後でじっくり話し合おうぜ」
「一旦出るぞ」と銀時が声を掛け、不承不承出て行くと、遼は漸く安堵の溜息をついた。
「ああ、疲れた……沖田さん、もう離して大丈夫ですよ」
「さぁて、罰ゲームは何にするかなァ」
意地の悪い笑みを浮かべて体を離した沖田に、遼は僅かに表情を強張らせる。
きっと碌な事を考えていないと遼は身構えるが、沖田の口から出たのは予想外の「罰ゲーム」だった。