第16章 企画(沖田・新八夢)
「ひっ──!」
「しっ、声出したら見つかるぜ」
空いている手で遼の口元を押さえた沖田は、ニヤリと笑って距離を詰めた。
狭いロッカーの中、逃げ場などなく、遼はどうにか体を捩らせながら沖田の手を押しとどめるが、力の差は歴然で、あっさりと振りほどかれる。
するりと肌の上を滑る沖田の手に、遼は思わずくぐもった声をあげた。
「ん、ふっ……」
「汗がすげぇ出てるぜ。ヤってる最中みてぇだな」
「?」
訝しげな表情を浮かべる遼に、沖田はくすりと笑った。
「セックス、してるみてぇだろ」
「っ!」
赤くなった遼に気を良くした沖田は、口元を押さえていた手を離し、遼のシャツのボタンを全て外す。
「沖田さんっ!」
殴ってでも沖田を止めようとした瞬間、どこかからアラーム音が鳴り響き、ポケットから携帯電話を取り出した沖田は「時間切れか」と呟くと、電話を掛け始めた。
「──ああ、土方さん。時間切れですぜ。見つかってねぇのは──やっぱり俺と遼だけですか。じゃあ、俺たちの勝ちって事で。ああ、資料室に居るんで来て貰えやすかぃ。──まぁまぁ、面白ぇもんが見やすから。俺たちは、一番奥のロッカーに入ってるんで」
電話を切った沖田は、キョトンとしている遼を一瞥すると、シュルリと音を立ててスカーフを外す。そして、それを使って遼の両手首を縛ると、遼の足の間に膝を割り入れる。
「な、ちょっと、何するんですか?」
「股ドン」
「はぁ?」
「このまま俺が足をずらしたら、ドコに当たるかわかんだろ?」
「ドコにって……いくら何でも変態過ぎませんか」
遼は足を閉じようとして、自分の太股に当たるそれに気付いてしまい、慌てて沖田から顔を背けた。それに気付いた沖田は当然、わざとらしく遼に身を寄せて押し付ける。
「ちょっ、沖田さんっ、離れてっ!」
「こんな狭ぇトコで、動けるわけねぇだろ。アイツらがこの状況を見たらどんな反応するか楽しみだぜぃ」
「呆れるに決まってるじゃないですか!」
「どうだか。案外、土方さんなんかは──ああ、来たみてぇだな」
「えっ、ウソっ!今はヤバいですって!」
遼は自分の状況を思い出して狼狽えるが、涼しい顔の沖田は外に声を掛けた。