第16章 企画(沖田・新八夢)
ちらりと沖田を盗み見ると、本当に涼しい顔をしていて、遼は「羨ましい」と呟く。
(そう言えば、真夏でも隊長服着崩さないのって沖田さんくらいかも)
まるで見本のようにきっちりと着こんでいる沖田に半ば感心していると、ブラウスのボタンに手を掛けられた。
「どうせ俺しか居ないんだから、これも脱いじまえよ」
「は?いやいや、さすがにそれはお見苦しいかと」
「構いやしねぇ」
一番上のボタンが外され、遼は慌ててその手を掴む。確かに二人きりだし、暑さに弱い遼にとっては、着ている物が1枚でも減るのは有難かった。しかし、恥じらいというものがある。
「ちょっと待って下さい」
「……すげぇな、首筋。汗が流れ落ちてるぜ」
首筋をするりと撫でられ、遼はぞくりと震えた。
当然だが、自分よりも太くて硬い指先に、沖田が異性である事を唐突に意識してしまう。普段なら、触れられるのも、こんなに近くに居るのも何とも思わないのに。
「遼、大丈夫か」
その声に名前を呼ばれるのでさえ、感覚を刺激した。
「大丈夫、ですから、手を……」
離して、と言いかけて息を飲む。
沖田が空いている手を遼の腰に回し、ズボンからブラウスの裾をを引き出した。
「こうすりゃ多少はマシだろ」
「あ、ありがとうございます……」
「ところで遼、アンタそんな下着持ってたっけ?」
「下着?」
はてなと胸元を見下ろすと、汗でシャツが体に張り付いていて、下着がハッキリと透けていた。
「黒い花柄レースなんて、随分男を誘うじゃねぇか」
「こっ、これは、お妙ちゃんが選んでくれて……たまには可愛いのも着けたいなって」
「へぇ……じゃあ、成功だぜ」
「?」
「そそられる」
沖田の指が、ブラウスの上からブラジャーをなぞる。
あまりにも自然なその動きに、遼は一瞬抵抗をするのを忘れてしまい、その間に胸元までボタンが外された。
「谷間、すっげぇ汗かいてるぜ」
「──っ!」
「へぇ、アンタもそんな顔が出来るんだな」
息が掛かるほど近くで囁かれ、遼は表情を強張らせる。
沖田の行動がどこまで冗談なのかわからない事が一層不安感を煽り、心拍数が上がっていった。
やめてくれ、と訴えなければと口を開いた瞬間、沖田の手がブラウス裾から中に滑り込む。