第14章 募る想い(土方裏夢)
トッシーの言葉に、遼は首を傾げる。
遼の疑問に気付いてか、トッシーは手の中の杯を一息に空にすると、遼を抱き寄せ胸に収めた。
「っ!」
「僕は僕の望みを叶えるよ。遼」
名前を呼ばれた遼が顔を上げると、意地悪く笑うトッシーと目が合う。
まるで十四郎のようだと驚いていると、唇を塞がれた。
「ん、ふっ……」
ちゅっ、ちゅっとわざとらしい音を立てながら何度も口吻られ、遼は離れようとトッシーの胸を押すが、ますます強く抱きしめられ、唇を舐められた反射で薄く口を開ける。
「はうっ、っあ」
「んっ、ちゅっ」
容赦なく侵入してきた舌に口内を蹂躙され、遼は苦しそうに眉を顰めた。
それでも終わらない口吻に、遼の手から力が抜けていく。
時々舌を吸い上げながら繰り返される口吻は、遼の記憶に染みついた土方との行為そのもので、混乱しながらも縋りそうになる。
「んんっ、ふうっ」
「んっ、はぁっ……やっぱり遼は可愛い」
「っ、トッシーさ……あっ」
漸く終わったのかと安堵していると、抱き上げられて寝室の布団の上に寝かされた。
どういう事かとトッシーを見ると、軽い音を立てて口吻られる。
「トッシーさん……?」
「遼、今夜は僕のものになってくれるかい?」
「え?」
意図がわからず不安げに見上げる遼に、トッシーは胸の内を伝えた。
「僕はずっと、十四郎の中から君を見てた。初めて会った時も、プロポーズした時も、祝言の時も──初めての交合も、全部覚えてる」
微笑むトッシーに、遼はごくりと喉を鳴らす。
この先何が待っているのか、容易に想像が出来た。
拒否しなければと思うのに、体がそれを許さない。
「安心して。僕は、十四郎だよ」
「でも、だって……」
「遼がどうすれば歓ぶのか、感じるのか、気持ち良くなれるのか、全部知ってるから」
「っあ」
耳たぶを優しく噛まれ、遼は体を強張らせた。
トッシーの手は、寝間着の上から遼の胸をやわやわと揉み、もどかしい刺激を与える。
「やっ、待って、トッシーさ、─んんっ」
胸の先端を抓みあげられ、遼は思わずくぐもった声をあげた。