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魂の色【銀魂短編夢】

第14章 募る想い(土方裏夢)


会員証を眺めていると、トッシーが近藤に連れられて部屋に入ってくる。

「トッシーさん、お洋服有りましたよ」
「懐かしいな。トシはそんな物まで取ってたのか」
「お通ちゃんファンクラブ会員証も入ってましたよ」

遼が手渡すと、トッシーはそれを眺めてから、何とも言えない表情で溜息をついた。

「どうかしましたか?」
「ちょっと、思い出して」
「ああ、お通ちゃんのファンクラブ決定戦か。あの時は──」

語り始めた近藤に耳を傾けながらも、遼は話に相槌を打つトッシーを見る。
余程思い入れがあるのか、話の盛り上がる二人を見て、これも土方の一つの姿なのだと感じた。

(お通ちゃんのファンって事は、十四郎さんもお通ちゃんみたいな人がいいのかな?
でも確か、沖田さんのお姉さんはお淑やかな美人だったって……)

比べた所でどうなる物でも無いのだが、気になる物は仕方が無い。

(そりゃあ私は、美人でもスタイル抜群ってわけでもないし……)

色々考えていると、近藤に名前を呼ばれて顔をあげた。

「大丈夫か?」
「すみません、ちょっと考え事を」
「遼氏、とりあえず服は見つかったから家に帰ろうか?」

心配そうなトッシーの瞳に、遼は慌てて笑顔を作る。

「大丈夫です。探し物済ませてから帰りましょう」
「でも、もういいでござる。これが見つかっただけで十分だから」

そう言って笑うトッシーに、遼はこれ以上はと諦めた。

「近藤さん、お邪魔しました。今日はこれでお暇しますね」
「ああ、何か有れば、遠慮せずに連絡してくれたらいいからな」
「ありがとうございます」
「トッシーも」

ニコリと笑った近藤に、トッシーは黙って頷く。
屯所を後にした二人は、会話のないまま自宅への道を歩いていた。
お互いに何となく聞きそびれていることがあるのだが、切り出せずにいる。

(もしも、十四郎なら)
(もし、十四郎さんだったら)

同時に溜息をついた二人は、思わず顔を見合わせてからふきだした。

「ふふっ、何かお悩みですか?」
「遼氏こそ」
「大した事では……そうだ、せっかくだからご飯でも食べて帰りませんか?」
「そうだね」

頷いたトッシーは、自然に遼の手を取り歩き出す。
遼は驚きながらも、その手を握り返した。
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