第14章 募る想い(土方裏夢)
土方がトッシーになって三日。
テレビをつけると真選組による昨日の捕り物が報道されていて、遼はちらりとトッシーの表情を窺った。
(あんまり興味がなさそう。……仕方ないか、トッシーさんは十四郎さんとは違うんだから)
真選組の為に奮闘したのも、近藤を慕い、その道を共に歩くと覚悟したのも、十四郎でありトッシーではない。
わかってはいたが、寂しくもあった。
「トッシーさん、今日はどうしますか?」
「今日は、その……遼氏と出かけたいんだが、いいでござるか?」
「私は予定も無いですし、大丈夫ですよ」
「じゃあ、まずは真選組に行ってみるでござる」
思い掛けない提案に、遼は数度瞬きをした後、やや不安げに「どうして」と尋ねる。
「もしかしたら、拙者の服や集めていたグッズがあるかもしれないから、確認したいんだけど……」
「あっ、そうか、そうですね」
想像していたのと違う答えに安堵しつつ、遼は近藤に訪問する旨を連絡してから出発した。
未だによそよそしい態度のトッシーは、遼の少し後ろを歩いていて、まるで他人のようだ。
いつもならば、と考えてしまい、そんな事ばかりに思いを馳せる自分に嫌気がさす。
考え事をしていたせいか足早になっており、気付くと真選組の正門が見える所まで来ていた。
警備中の隊士に挨拶をして中に入ると、近藤が二人を和やかに迎える。
「こんにちは。すみません、色々ご無理を言ってしまって」
「いやいや。トシもたまには休まないとな」
「ありがとうございます」
「遼ちゃんも大変だと思うけど、無理はしないようにな。そうだ、少しだけトシと──トッシーと話をしたいから、遼ちゃんは先に行っててくれるかい?」
「えっ、あ、はい。じゃあ、失礼します」
遼は一人副長室に行くと、押し入れを開けて着替えの入っている行李を引き出した。
「赤い着物と、袖の無いGジャンだったっけ?
ここには入ってないなぁ……ん?」
押し入れの奥に隠すように置いてある風呂敷包みを見つけ、それを開いてみる。
「あ、これかも。……寺門通公式ファンクラブ会員証?」
着物の間に挟んであったそれには、「トッシー」と記名され、土方の写真が貼られていた。
「トッシーさん、お通ちゃんのファンだったんだ」