第2章 鉄線(沖田裏夢)
薬の効果なのか、熱のひかない体に遼は荒い息を繰り返す。
縛られた手首が擦れて痛むのでさえ、快感になっていた。
「あと2回くらいは出来るか」
携帯の画面をチラリと見て、沖田は隊服を脱ぐ。
鍛えられた体が視界に入り、遼はぎゅっと目を閉じた。
逃げ出すことが出来ないなら、耐えるしかない。
きっとその内、沖田も諦めるだろう。
「何だ、もう抵抗しねぇのか」
「あなたが、したいようにして下さい」
「こんな事しても、心は奪えねぇって?」
「体は裏切ったとしても、私の想いは消えないもの」
「ふっ、ははっ」
突然、堪えられないように笑い出した沖田に遼は体を震わせた。
ひとしきり笑ったあと、沖田は遼の頬に指を滑らせる。
「はぁ、こいつは滑稽だ。アンタ、本当に気付いてないのか?」
狂気を孕んだ沖田の表情に、遼は続けられる言葉に気付いて「やめて」と、か細く訴えた。
「なぁんだ、気付いてたのか。もう捨てられてるってこと」
ひゅっ、と音をたてて息を飲んだ遼に、沖田はますます笑顔になる。
「何日も助けはこないし、騒ぎになってる様子もない。アンタはあの人に捨てられたんだ」
耳元に唇を寄せて、まるで睦言のように囁かれた言葉は、遼を絶望させるには十分だった。
「大丈夫。俺はアンタを捨てたりしねぇから」
「っあ、や」
再び挿入され、遼は思わず体を反らせて快感に身を寄せる。
遼が反応する箇所を的確に擦りながら、胸の先端を摘まみあげると、太股が突っ張り、堪えられなくなった嬌声とともに達した。
「早ぇな。ったく、俺はまだまだだってぇのに」
「ひ、や、あぁん、ダメっ、またっ」
乱暴な突き上げに、遼は縛られて動かない両手を祈るように握り締める。
快感に耐えるあまりに、爪が食い込み、皮膚が切れるが、そんな事に構っている余裕は無かった。
「や、くるっ、またっ、んあぁぁぁっ!」
「っく、締めすぎだ」
全て搾り取ろうとするほどの収縮に、沖田も間もなく遼の中に吐き出す。
虚ろな目で天井を見上げて荒い息を繰り返す遼の額に軽く口吻ると、自身を抜いてその体の上に倒れ込んだ。