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魂の色【銀魂短編夢】

第14章 募る想い(土方裏夢)


「ヘタレオタクでも、やり方ぐれぇ知ってんだろ?
知らねぇってんなら、俺と遼で実践して見せてやるぜ」

人の悪い笑みを浮かべて提案する銀時に、トッシーは慌てて首を横に振る。

「でも、拙者は……」
「体は同じなんだから構わないだろ。まあ、頭の堅い遼の事だから、そう簡単に首を縦には振らねぇだろうけど」
「……そんな事、拙者が一番わかってるでござる」
「あっそ。じゃあせいぜい頑張れや。とりあえず鍛冶屋には連絡してるから、聞きたいことが有るなら行ってみろ。場所はわかんだろ?」

頷いたトッシーは、ふと村麻紗に目をやった。
自分自身だから、よくわかる。
刀は今、空っぽで何も無い。
刀鍛冶に見せたところで、どんな解答も得られないであろう事は、トッシーが誰よりもわかっていた。
けれど、傍に居たいと思ってしまったのだ。
苦悩するトッシーをよそに、銀時は盛り付けられた料理をつまみ食いする。
戻ってきた遼はそれを見て、呆れた声でお手拭きを渡した。

「もうっ、お行儀悪いなぁ。せめてお箸使ってよ」
「腹減ってんだよ。やっぱり遼、腕上げたな~。煮物の味付けとか、本当銀さん好みだし」
「それはどうも。それより銀ちゃん……」
「鍛冶屋の事なら、電話してるから後で行ってみろ。トッシーに場所は伝えたから」
「えっ、あ、ありがとう」

知らぬ間に話が進んでいて、遼は首を傾げつつもトッシーの隣に腰を下ろす。
瞬間、トッシーが緊張したのがわかって、遼はトッシーの表情を窺うが、思い切り目を逸らされてしまう。

「?」

不思議に思った遼は、先程までトッシーと話していた銀時の方を見るが、ニヤリと笑って誤魔化された。
追求しても仕方が無いと、遼も手を合わせてから食事を始める。
他愛ない会話をしながら食事をしていたが、とある違和感に新八は首を傾げた。
遼は気付いていないようだが、銀時が遼に話し掛ける度にトッシーが二人を盗み見ては顔を顰めている。
新八は、二人に気付かれぬよう銀時の袖を引いて耳打ちした。

「もしかしてトッシーは遼さんの事……」
「だろうな。自分がライバルって、ジャンプの主人公かよって感じだよな」

喉を鳴らして笑った銀時を見て、新八はトッシーに同情する。
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