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魂の色【銀魂短編夢】

第14章 募る想い(土方裏夢)


時間的に繋がらないかと思ったが、僅か3コールで受話器が取られ、意外にも銀時の声が聞こえてきた。

『はいもしもし、万事屋銀ちゃんです』
「あっ、おはよう銀さん。神武遼です。朝早くからごめんね」
『おお、遼ちゃん。久しぶりだなー。どうした、遂に離婚か?』
「しません。ちょっと依頼したい事があって」
『旦那の浮気調査か?』
「もうっ、何でそうなるの。違うって、実はね──」

搔い摘まんで状況を説明すると、電話の向こうで銀時が盛大に吹き出す。

「銀さん、笑い事じゃないんだよ」
『これ以上笑える話なんてねぇだろ。まあつまり、遼は旦那を元に戻したいって事だな』
「んー、戻したいって言うより、困ってるみたいだから、力になれたらなって」
『なるほどな。でも遼、優しすぎるのは罪だぜ』
「え?」
『まあいいや。とりあえず今日の昼にでもウチに連れて来いよ。ついでに銀さん、お前の作った飯が食べたいんだけど』

随分と調子の良い銀時に呆れつつ、協力してくれるならと承諾して電話を切った。
冷蔵庫の中を確認し、幾つか食材を出してからトッシーの様子を見るため土方の私室に向かう。
普段なら遠慮なく開けるのだが、念のためと襖の向こうに声をかけた。

「トッシーさん、入ってもいいですか?」
「遼氏、僕の服を知らないかい?」
「トッシーさんの服?
 ちょっと失礼しますね」

遼が部屋に入ると、トッシーが箪笥の前に座ったまま困惑した表情を向けてきて、遼は押入を開ける。

「トッシーさんの服って、どんなのですか?」
「赤い袖無しの着物に、袖無しのGジャンと黒いズボンでござる」
「洋装ですか。……ここにも入ってませんね」
「そんなぁ」
「もしかしたら、屯所かも。結婚する前の物がまだ置きっぱなしみたいですから。良かったら、取ってきましょうか?」
「いや、いいよ。仕方ないから、今日はこれでも着ておくよ」

諦めがつかないのか、弱々しく答えたトッシーは、箪笥から一枚の着物を取り出した。

「それ……」
「遼氏、どうかしたでござるか?」

何故か驚いている遼に、トッシーは首を傾げる。

「それ以外にしませんか?」
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