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魂の色【銀魂短編夢】

第14章 募る想い(土方裏夢)


「トッシーさん、お茶をどうぞ。あの……色々不安だと思いますけど、あまり思い詰めないで下さいね」
「遼氏、君は……」

トッシーが何か言いかけた時、訪問者を告げるチャイムが鳴った。

「はーい!」

パタパタと慌ただしく玄関に向かった遼は、扉の向こうの人物に少し驚く。

「沖田さん」
「よォ、何か面白ぇ事になってるらしいじゃねぇか」
「面白くはないと思いますが……どうぞ、トッシーさんは居間におられますから」
「邪魔するぜ」

ずかずかと家に上がった沖田は、居間の襖をわざとスパンと音を立てて開き、驚き固まるトッシーを見てニヤリと笑った。

「副長ォ、おはよーございます」
「ひっ、あっ、沖田氏」
「あらら、本当に土方さんじゃねぇみたいだ。遼、お茶」

トッシーの前に座った沖田は、図々しくもお茶を頼むと、改めてトッシーを眺める。
見た目は土方だが、纏う気配が全然違う。
おどおどした様子や、キョロキョロと忙しなく動く眼球。

「沖田氏、僕に一体何の用が……」
「その調子じゃあ、真選組に来て貰っちゃあ困るぜィ」
「え?」
「鬼の副長の風格一つ感じられねぇ。それじゃあ隊士はついて来ねぇぜ」
「僕は別に真選組には、」
「真選組に必要なのは土方十四郎だ。アンタじゃねぇ、さっさと消えな」

辛辣な沖田の言葉に、トッシーは息を飲む。
ここまでハッキリ悪意を向けられるとは思っていなかった。

「もうっ、沖田さんは意地悪ばっかり言うんですから。トッシーさんも戸惑ってるんですから、優しくしてあげて下さいよ」
「遼はただ甘やかしてるだけだろ」

出されたお茶に口をつけながら、沖田は些か呆れた様子で答えると、トッシーに「刀はどこだ」と尋ねる。

「刀?」
「村麻紗だよ。へし折りゃトッシーも成仏できんだろ」
「成仏って、オバケじゃないんですから」

呆れる遼に、沖田は「コイツと喋ってるとイライラするんでぃ」と、トッシーを睨みつけた。

「沖田さん、そんな怖い顔しないで下さいよ。それよりも、前にトッシーさんが出て来たのはどんな時だったんですか?」
「俺が知ってる限り、最初は村麻紗って妖刀を手にした時だな。その後は時々出て来たみてぇだぜ。その度に土方さんが苛々したり、絶望したりしてたなァ」
「時々って、トッシーさん、どんな時だったんですか?」
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