第7章 護身術
粟楠が、手にしたスタンガンを押しつけるのは全く同時の事だった。
が先日、“奈倉”から渡されたスタンガン。
男にとってもにとっても幸運だったのは、新羅が電圧を常人が死なない程度に改造しなおしていた事だった。
もっとも“死なない程度”というだけで、強力な電圧には変わらないのだが。
「く、くそ!なんなんだよこいつら!」
「誰だよ!静雄への人質になるとか言ってた奴ぁよぉ!」
「や、やべぇ!一旦引くぞおい!」
男達は慌てて境内から逃げ出し、車に向かおうとしたが、既に車は発進しようとしている。
「ば、馬鹿!待て、なんで……」
慌てて車に駆け寄り、そこで車が発進しようとした理由に気付いた。
通りの向こうから、バーテン服の男がドレッドヘアの男と一緒に戻ってくるのが見えたからだ。
「し、し……静雄だぁ!」
「早く乗れぇぇ!」
悲鳴と共に去っていく数台の車を見ながら、トムは首を傾げながら呟いた。
「なんだありゃ。喧嘩でもしたのか?」
「鬼子母神の前で喧嘩なんて、罰当たりな連中っすねぇ」
「あ、静雄さん!」
「よう、仲良くしてか」
駆け寄ってくるの頭をワシワシと撫でる静雄。