第7章 護身術
周囲の道路に車が数台停まり、ほぼ同時に扉が開く。
数台のバンから現れたのは、銀行強盗のような目出し帽を被った男達。
「あれ!?何?何?まずそうな雰囲気だよ?
「……悪(誘拐犯)……?」
男達はそのまま、一気に取り囲み女達に全力で駆け寄った。
「手前、大人しく……ぼッ!?」
マイルを抑え込もうとした男の目の前に、彼女の指が突き刺さる。
突き込んだ指でそのまま男の目出し帽を掴んで引き剥がし、露わになった男の耳めがけ――平手打ちを叩き込んだ。
鼓膜を破る事を目的とした、危険なタイプの平手打ちを。
悲鳴を上げた仲間の声に、別の男が反射的に視線を向けた瞬間、クルリは小さなスプレーを噴射した。
それは市販の痴漢撃退スプレーを参考に作った護身液だった。
あくまで参考なので、その刺激は市販のものよりも強力なのだが。
「なっ……なっ……!?」
仲間が次々とやられていくのを見て、襲撃者の中で一番大柄だった男が、そこでようやく異常に気が付いた。
「くそ、舐めやがって……!」
男は自らの長身故に小さな少女が歩み寄ってきてた事に気付けなかった。
足元で“バチリ”という音が響き、男が視線を向けるのと――
「え、えいっ」