第5章 救出
縄を外された香純が、肩と目を震わせながら静雄にひしっとしがみついた。
「どうして……?どうして私……静雄さんの事殺そうとしてるのに、助けてくれたんですか……?」
「……現在進行形かよ」
「え……あ、その……」
「まあ、それはどうでもいいけどよ……。怪我はねぇか?」
「はい、大丈夫です……」
「そりゃ良かった」
今朝がた見せた作り笑いではなく、静雄らしい力強い笑みを浮かべ、少女の頭をポン、と撫でる。
「どっか怪我しちまってたんじゃ、おれを殺すどころの騒ぎじゃねぇからな」
静雄の笑顔を見て、は暫く戸惑っていたが、やがて、かすかに微笑みながら小さく頷いた。
その表情に、その仕草に、トクン、と静雄の胸が鳴る。
「…………?」
その気持ちに静雄が気付くのは――もう少し、後のお話。