第5章 救出
―5月4日・夜・マクドナルド池袋東口店内―
「それで?結局何がどうなったんだ?」
「いや、俺もよくわかんないんすけど……突然新羅の奴から電話があって、『もう疑いは晴れたみたいだから大丈夫だよ』って言ってきて……結局その後、街を歩いてても何もなかったんで別にいんすけどね」
「ていうか、そもそも何で粟楠会に追っかけられてたんだ?」
「いや、それは言えないんですけどね」
「?」
「新羅が粟楠会と話しつけてくれたらしいんすけど、その条件が、俺が見たものは一切他言しない……って事なんで」
「ふーん。まあ、俺も巻き添えは御免だからな。深くは聞かねぇよ」
「ありがとうございます」
「社長も、今日は有給扱いにしてくれるとよ」
「え、本当ですか?」
「おお、代わりに明日は今日の分も纏めて仕事に回るかんな」
「まあ、そのぐらいなら……」
彼らの会話にはそれ以上粟楠会の名前も出ることなく、いつも通りの日常が静雄の元に戻ってきた。