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とある、非日常の中の少女の日常。

第5章 救出



相手の意図に気付いたヴァローナは、バーテン服の姿を探したのだが――

彼女は気付いていなかった。

力任せのパルクール。

静雄は車を蹴ると同時に走り出し、塀と電柱を利用して駐車場横のマンションの二階まで上り、そのベランダの縁を走りながらトラックの横まで併走していた。

文字通り斜め上からトラック内に飛び込む静雄。

全く無駄のない動作で銃を向けるが、静雄はライフルの銃身を素早く掴むと、ただただ力強く握り込んだ。

ヴァローナは素早くその銃を手放し、予備の拳銃を引き抜いた。

ーー眼球までは……鍛えられない

引き金を絞ろうとして――

絞り切る事が出来なかった。

トラックの横を何者かがいつのまにか併走していてその“影”で拳銃の引き金を抑えていたのだ。

ーー馬鹿なっ!黒バイク……っ!

『近くの物に掴まれ!』

ある程度スピードを上げていたトラックが、急ブレーキをかけた。

その時、静雄は咄嗟に荷台の横壁を殴り抜いたと同時に前方にいた少女に目を移した。

ーーやっぱり香純だ、間違いねぇ

刹那――トラックの荷物が崩れかけているのが目に映る。

その荷物が落ちた先――

テーブルの上の剥き身となった何本かのナイフの一部が跳ね上がったと思うと、そのままの上に降りかかるようにして落下していくではないか。

「っ!」

気付けば、静雄は勢いよく床を蹴っていた。

宙を飛んだ静雄の体は、弾丸のごとき速さでの体に覆い被さりーー数本の刃をその身に受け止めた。

静雄は縛られたを抱えて勢いよく立ち上がり、トラックの荷台で獣のような跳躍を見せ、勢いよくトラックの荷台から外に飛び出した。
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