【名探偵コナン】Redo*misty【降谷/ 赤井/ジン】
第10章 零の奪還
は新一と風見に向けて、人差し指を唇にあてた。
一呼吸おき、通話に応じる。
-『…私よ』
-「元気そうじゃねぇか、ミスティ」
-『あなたもね、ジン』
はFDの写真を指でなぞった。
-『その携帯の持ち主は、生きているのかしら』
-「今のところはな」
-『そう。ところで私に話したいことでも?』
端末の向こうで、ジンが不気味に笑う気配が伝わる。
そして微かに聞こえる波の音。
-「明日、ここに来い」
-『場所は』
-「追って伝える」
-『わかったわ』
-「ドレスコードを忘れるなよ。美しく着飾ったお前と、感動の再会といこうじゃねぇか」
通話を終えると、震える自身の両手を眺めた。
降谷を助けるということは、自身を作り上げたジンと対峙することになる。
(私がジンに牙を剥くの…?)
"さんは、あの時戦っていたよ
"組織と、ジンとさ"
新一の言葉を思い返す。
(私の知らない私は、ジンと戦った…)
そして降谷はを取り戻すために、組織を壊滅させた。
(零は、私のために…)
その降谷はジンに囚われた。
(私が誰かのために戦う時がくるなんて…)
任務ではない、自身の意思によるもの。
「さん、大丈夫か…」
震える両手を見つめたままのに、新一は声を掛けた。
顔をあげたの表情は、数分前とはうってかわり頼りなさげで、弱々しさが滲んでいた。
『大丈夫、ごめんなさい。明日、ジンの元に行くわ』
「我々もサポートに…」
『駄目よ、ジンの目的はバーボンと私。誰も巻き込むわけにはいかない…』
「あなたを1人で行かせるわけにはいかない!」
風見は扉の前に立ちはだかった。
「さん、危険すぎる」
新一はの腕を掴んだ。
はその腕を自身の方へ引き寄せ、背中に捻りあげる。
ホルダーから抜いたナイフを新一の首にあてた。
『そこをどいて…』
「っさん、馬鹿な真似は…」
「風見さん大丈夫だ、ブラフだ」
『それはどうかしら…』
新一の首から一筋の血が流れた。