【名探偵コナン】Redo*misty【降谷/ 赤井/ジン】
第2章 錯綜と交錯
その日もスマホのアラームは05:50になり、目覚めれば頭痛に襲われていただった。
――Pipipipipipi!!
『…っぁ…頭っ割れ、そっ…』
頭を抑えベッドを出るとピルケースからボルタレンを取り出し飲み込む。
『……っ痛』
自分の思考に反して頭の中に映像が流れる。
濃い霧が徐々に薄くなり鮮明に映し出される。
"黒のポルシェ・356A"と狡猾そうな冷たい瞳の男…
『……ポルシェと、男?』
薬が効きはじめた頃シャワーを浴び気分を落ち着けた。
『これも"私"の記憶?』
あまりにも少ない記憶の情報に処理のしようも無くお手上げで、カーテンを明け外を見るとまるで自分の心を写したような曇り空だった。
『……美味しいコーヒーが飲みたい』
ひさびさにポアロに顔を出すことにした。
左腿にナイフと左脇に銃を装備しジャケットを羽織り、到底喫茶店に行くだけの装備ではなかった。
カランコロンとドアベルをならしお昼も過ぎたのに女性客の多いポアロに入る。
「やぁ、いらっしゃいさん」
「さん、いらっしゃい!」
『こんにちは』
カウンターに腰を掛け、安室にコーヒーをオーダーすると、梓が神妙な顔で近づいてきた。
「あの…さんて何の仕事してるんですか?」
『今は何もしてないわ…休業中よ』
「ポアロで働きません?」
『それは楽しそうだけれど…』
思わず安室を見る。
「良いじゃないですか!さん」
「さんが一緒だと楽しみですー!」
こうして週に二回ポアロのアルバイトが決まり、暇を持て余したにはこの上なく有り難いお誘いであった。
連絡用に梓と安室の番号をスマホに登録した。
楽しい時間を過ごしポアロを出ると安室がを追いかけてきた。
「さん!」
『安室さん?』
徐にジャケットの中へ手を入れ左脇腹あたりのを触り、銃を携帯していることを確認した。
「なぜ?」
『夢見が悪かったからお守り代わりよ』
「危ないことは…」
『わかってる』
安室はため息をつき"気をつけて帰ってください"と貼り付けた笑顔を残しポアロに戻った。
『好きじゃないわ、あの笑顔』