【名探偵コナン】Redo*misty【降谷/ 赤井/ジン】
第10章 零の奪還
鏡越しの降谷を見つめた。
『あなたがそんな顔してどうするのよ。それに道具として使う場所もなくなったわ…、そうでしょう?』
「、僕は…」
『なんだか興醒めしたわ…シャワー浴びて眠りたい』
降谷はをバスルームに押し込めると折戸を閉じようとした。
は降谷の腕を掴んだ。
『あなたは浴びないの?』
「僕は後で」
は降谷の腕を掴み、バスルームへ引き込んだ。
服を着たままの降谷は呆然とシャワーのお湯に濡れていた。
『早く脱いだ方がいいわよ?』
気にもとめないは、どこ吹く風で頭を洗っている。
何だか滅茶苦茶なの行動に、観念も諦めも覚えてしまった降谷がいた。
大きな溜息とともに服を脱ぎ捨てシャワーを浴びた。
バスタオルと自身のスウェットを着替えに手渡した。
あまりに違いすぎる今のに降谷はクローゼットの存在を伝える気にはなれなかった。
『あなたはどこで寝るの?』
『枕は2個あるじゃない』
『一緒に寝ればいいわ』
色々と気にするのがバカらしく思えた降谷は共に布団に入り、に背を向けた。
なぜかもうは戻ってこないような予感がした。
(共に過ごせば…いつかの事を思う気持ちは変わるのだろうか…)
どんな彼女でもと願った自身も、さすがにこの状況は想像できなかったと苦笑いを浮かべながら降谷は眠りについた。
ふわふわと鼻を擽る感触に降谷は目覚める。
腕を枕に、胸に顔を押し付けて、背中に腕をまわす、何度も見慣れた朝の光景と彼女がここにいる。
(そうだった…、生きてそこにいてくれれば、僕はそれで良かったんだ)
自身のことなど微塵も覚えていない、思い合える関係とは程遠いけれど、今この瞬間に抱き締めずにはいられなかった。