第1章 記憶と感覚

喫茶店の貼り付け営業スマイル店員なはずの彼が、初対面で見せた威圧的な彼で、警察を呼び？爆弾処理させて？大丈夫だ安心しろと言う様に戸惑いを隠せない。

（ちょっと…いや…かなり状況が処理できないわ…）

『…あなた何者？』
「この後…時間あるか」
『事情聴取以外なら』
「わかった」

その後30分程で爆弾処理は終わりは調書も取られず足止めされる事もなかった。

「待たせたな」
『大丈夫よ、あと…ありがとう助かった』
「ついてきてくれ」

頷き自分の車に乗り込むと、安室の後を追った。
暫く走り気づけば自分のマンションだった。

『何でここなの…？』

地下駐車場に入りいつも通り車を停め、安室の元へ行く。
カードキーを使いエレベーターに乗りの部屋の前に立つ。

『…え？』
「あけてくれ」

言われるままに家の鍵をあけると、安室は玄関に入りの腕を引きドアを閉めた。

両手首を掴み、顔の横に縫い付けると、耳元で掠れた声がした。

「なぜいなくなった…」
『…？』
「なぜ…また俺の前に現れた…」
『…ごめんなさい、私にはわからない』

苦しそうで悲しそうな表情の安室からは目が逸らせなかった。
近い距離が更に近くなり拒むことなく唇が重ねられすぐに離れた。

「…なぜ……拒まない…」
『…わからない』

もう一度唇が重なれば口腔の中を安室の舌が割入りの舌も吐息も全て絡め取るように、深く深く角度を変え味わう。
静かな玄関には二人から発せられる水音と吐息だけが淫らに響いた。

『っは、ちょ…、まっ……っ…て…』

漸く離れた唇からは二人の混ざりあった糸が引きプツリと弾けた。

『っはぁ…はぁ…』
「……っ」

乱れた呼吸を整えていると安室は掴んでいた手首を解放し、を抱きしめた。

『…ふぅ……、少しくらい説明してよ…』

ギュッときつく抱きしめ直し"あぁ"と小さく頷いた。


部屋の中に入ってからは"勝って知ったる"かのように自然に馴染む安室を見て、数分前の会話とキスを考えると"元カレ疑惑"がの中で濃厚になりつつあった。