【名探偵コナン】Redo*misty【降谷/ 赤井/ジン】
第7章 誘発と暴発
東都水族館の後処理が落ち着いて来た頃、降谷はポアロに戻り始めていた。
久しぶりにと一緒に朝食をとり2人で出勤をする。
ドアの鍵を開けカランカランとドアベルを鳴らしポアロの1日ははじまる。
『今日は最高気温が少し高いみたい』
天気予報を表示するスマホの画面を降谷に見せる。
「水出しコーヒー、いつもより多めに作っておくか…」
お昼過ぎになり店内も落ち着きを見せる頃、1人の老婦人が来店する。
『こんにちは、今日はいつもより遅い昼食ですね?』
「そうなんだよ…」
『いつものホットサンドとホットでよろしいですか?』
「そうだねぇ…」
はオーダーをとりカウンターへ向った。
「え?お冷でいいって?」
『うん、でも…』
はお冷用のコップではなくコーヒーカップを手に取る。
そのカップへ何も言わず白湯を注いでくれる降谷に視線を移した。
深く伝えずとも意図を汲んでくれる彼にの頬は緩む。
『さすが零』
「こそ」
誰にも聞こえる声ではなく2人は小声で呟いた。
はホットサンドとホットコーヒー、それに白湯を運ぶと老婦人はバッグから薬を取り出した。
「あぁ、気が利くねぇ。白湯にしてくれるなんて」
『病院の帰りに寄ってくださったんですよね?』
「そうなんだよ、薬を飲みたいと思っていたんだよ。ちゃんに話たかねぇ…。手間かけさせたね」
『いえ、ごゆっくりどうぞ』
と老婦人のやり取りに降谷の頬も少しで緩んでいた。
店内の客足もとだえると2人も休憩をとる。
『今日のまかない私が出してもいい?』
まかないはいつも降谷が作っていた。
は持参したタッパーを取り出し何かを作り始めた。
『おまたせ』と出されたトレイにはおにぎりが2個と卵焼きにセロリの浅漬けとお味噌汁がのっていた。
「ははっ、ありがとう」
洋食の気分ではなかった降谷は、のなんとなく準備されたまかないに、また頬が緩んでいた。
『透さん、食後はアイスコーヒー?』
「いただきます…」
がアイスコーヒーを注ぐと、ちょうど空になった容器をふってみせた。
『アイスコーヒー、たった今売り切れたね』
ポアロで過ごす2人の平和な日常のひとコマだった。