第11章 救われたのはどちらから
「というわけで突撃しに来ましたー!!」
「来ましたー」
「何が…というわけで、なんだろう…」
「ごめんね…止めたんだけど」
午後10時。さぁお腹も満腹。シャワーも浴びた。寝よう!と思い、ベッドに入って夢に入るかの瀬戸際で部屋のドアがノックも無しにバァンと開かれたのだ。
来たのは、ベッドにいる私に跨り、上でぴょんぴょんと跳ねるカーディと、ベッドの縁に座って私を起こそうとするアドナキエル。入口に立っていて腕を組みながら苦笑いを浮かべるスチュワードの3人だ。
メランサはいないのか、とスチュワードを見ると、察してくれたのか、
「メランサは早寝する子だから」
と説明してくれた。なるほど。納得した。
「ねーえー!さくらちゃん!遊ぼうー?」
「はて?今何時でしょうか…」
「まだ10時34分だよー?」
「"まだ"とは?」
「ほら、2人とも。さくらが困っているだろう。帰ろう」
「スチュワードくん手厳しいー!!」
スチュワードによって上からカーディが引き摺り下ろされた。
開放されて徐に上半身を起こした私は、グッと上に伸びをする。すると何だか目が覚めてしまった。部屋の外に引きずられていくカーディを見て、はぁと息を吐いた私はベッドから立ち上がった。
「いいよスチュワード。遊ぼう」
「え、でも…「やったあ!」カーディ!」
カーディはスチュワードの手を逃れて、こちらにやって来た。可愛らしいが時間には似つかわしくない声量だ。だがロドスはどうやら全ての施設が防音仕様なのだとか。先民は耳が良いためらしい。ドクターに教えてもらった。
「何する何する!?体術訓練?!」
「訓練とは!?」
「冗談だよ!あ!じゃあちょっとしたアーツの遊びする!?」
面白そうな話が出て、食いつく。
カーディは持ってきていた斜め掛けの鞄から、何やらボードを出すと、備え付けの大きい机に置いた。
ボードゲームか、と思ってカーディの様子を後ろからじっと見る。
「ほい!」
ボードにあるスイッチを押すと、そのボードが元の4倍ほどに広がり始めた。
「(豪く機械的なボードゲームだな…)」
この世界は機械に関しては相当進歩していると時々思う。あっという間に机一面に広がってしまったボードに苦笑いを零す。