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【アクナイ】滑稽な慈悲

第9章 酷い夢



「私を、ロドスに帰して…」

「……思ったんだが、あれだけの損害をロドスに与えたんだ。お前の居場所は無くなっていると思わないか?」

「!!そん、な…」

「目を瞑って剣を振るうお前を、戦えない無能のお前を!…ロドスが快くいつまでも置いていると思うか?」

「…だ、だって…ドクターは、ロドスにいて良いって「一人の意見なんざ、この世界では何の役にも立たないんだよ」!…」


男は嘲て、されども苦虫を噛み潰したような苦しそうな声で言った。


「知っているだろう?戦争が繰り返されているこの世界では使えない者、戦わない者から死んでいく。…現実は残酷なんだよ」


その言葉にさくらは暴れることをぴたりと止め、はたりと瞬きをした。
その目からぽたりと涙が流れる。その涙もコントロールの利かない冷気により氷に変わり、瞬時に体に帯びる電流で砕け、纏う炎で溶解しては蒸発してしまった。
確かに、使えない―――そう思えばもう抵抗する気は起きなかった。


「…私は、レユニオンに行ったら…殺されるの…?」

「辛い事にはならない。ロドスと違って、レユニオンは皆お前を必要としている。どんなに施設を破壊しようが、追い出したりするやつはいない。…感染者は、皆仲間だ。異世界人だろうとな」

「…」


源石に侵されるさくらの思考がボウとしてくる。それは自分を助けてくれた天使の顔も消えていくほどに。
全てを放棄した彼女は、そのまま意識を手放した。

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