第7章 興味本位
「そうだ。さくら、購買に行きませんか?ドクターがさくら専用に服をご用意してくださったそうなんです」
「?何だろう。行ってみたいな」
「では行ってみま」
しょう、とアドナキエルが言い切る前にどこかからピッピ、という機械音が流れ出した。
3人の目の色が即座に変わり、各自持っている通信端末を耳に付け始める。そして誇り高く「「「了解」」」と言うと、スッと立ち上がり始めた。
「……あぁ…とても残念ですが、お預けの様です」
「任務徴収がかかりました。ちょっと行ってきますね…」
ロドスにいるということは、そういうこと。研究員ばかりではなく、戦闘員は戦いに出ることもある。
改めてこの世界が"そういう世界"なんだと実感させられる。同時に3人が、私の中で大事になっていることに気付いた。
命は脅かされないのか。大丈夫なのか、と。
「そ、っか…気を付けてね」
「…なんて顔してるんだ?僕たちはドーベルマン先生の下で修業した行動予備隊A4なんだから。安心して」
クシャクシャと頭を撫でられた。
すると、メランサがぎゅうとまた抱き付いて来た。今度は首に細い腕が回り、またふわりとしたアロマの匂いが鼻を擽る。しかし、彼女はすぐに離れると足早に部屋を出ていった。
「っと、行ってくるよ」
「行ってきます。すぐ帰ってきますからね」
「うん。行ってらっしゃい」
メランサを追って廊下を駆け抜ける2人の青年は笑い合って前を走る少女を見つめた。
「メランサがあれほど大胆に他人に気を許すのは珍しいな」
「さくらのことを気に入ったようだね」
「…真顔がとても怖いよアドナキエル」