• テキストサイズ

【アクナイ】滑稽な慈悲

第7章 興味本位



「そうだ。さくら、購買に行きませんか?ドクターがさくら専用に服をご用意してくださったそうなんです」

「?何だろう。行ってみたいな」

「では行ってみま」


しょう、とアドナキエルが言い切る前にどこかからピッピ、という機械音が流れ出した。
3人の目の色が即座に変わり、各自持っている通信端末を耳に付け始める。そして誇り高く「「「了解」」」と言うと、スッと立ち上がり始めた。


「……あぁ…とても残念ですが、お預けの様です」

「任務徴収がかかりました。ちょっと行ってきますね…」


ロドスにいるということは、そういうこと。研究員ばかりではなく、戦闘員は戦いに出ることもある。
改めてこの世界が"そういう世界"なんだと実感させられる。同時に3人が、私の中で大事になっていることに気付いた。
命は脅かされないのか。大丈夫なのか、と。


「そ、っか…気を付けてね」

「…なんて顔してるんだ?僕たちはドーベルマン先生の下で修業した行動予備隊A4なんだから。安心して」


クシャクシャと頭を撫でられた。
すると、メランサがぎゅうとまた抱き付いて来た。今度は首に細い腕が回り、またふわりとしたアロマの匂いが鼻を擽る。しかし、彼女はすぐに離れると足早に部屋を出ていった。


「っと、行ってくるよ」

「行ってきます。すぐ帰ってきますからね」

「うん。行ってらっしゃい」


メランサを追って廊下を駆け抜ける2人の青年は笑い合って前を走る少女を見つめた。


「メランサがあれほど大胆に他人に気を許すのは珍しいな」

「さくらのことを気に入ったようだね」

「…真顔がとても怖いよアドナキエル」


/ 216ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp