第23章 殺意の目
見つめた先のバツで消された炎と氷と雷の絵。解釈を聞いていると、レイリィがこの絵を必死に描いているところを想像してしまう。
震える手で口を押えると、アドナキエルが私の肩を抱いた。
「…本当に推測だけどね。扉のこの絵は乾き具合から最後に描かれたんだと思う。…そして…自分を殺した犯人を示すものだと思うよ」
「どう、して?」
スチュワードは目を細めてドアの血の線に沿って指を近づける。
その指は、線に沿っているせいで小刻みに揺れていた。
「怖かったんだと思う。深夜2時、寝ぼけ眼で扉を開けば突然犯人に襲われ、1人死んでいくことが恐ろしかった。だから、この絵は…どんどん冷たくなっていく自分の体に怯えながら、震える手で描いたんだ」
「っ…」
「自分は自殺じゃないって」
「レイリィ…っ」
私が崩れないように、身体を抑えられる。
そのアドナキエルの胸に飛び込み、叫んだ。
「私がっ…昨日、一緒にいてあげれば…こんな、ことにはっ…!!」
「…さくらのせいじゃない。…大丈夫だよ」
ポンポン、と優しい手つきで撫でられる。
止まらない涙の中、静かに心に決めた。
"絶対犯人を突き止めてみせる"と