第22章 晴れてこれで
「私はさくら。君と同じ世界から来た人間だよ」
「!え、でも服が全然…」
「もうここにきて1か月かそこら経つからね」
「確かに…耳と尻尾とか先民っぽいものがない…!」
本当にこの世界に対しての知識があるようだ。
世界はこの子を盛大に歓迎するだろう。
だが…このままでは歓迎どころか疎まれてしまう。その理由…本題に入ることにした。
「その先民は、五感が発達してるって知ってる?」
「?…いえ」
「率直に言うね。サナの香水が彼らの発達した五感の嗅覚に相当なダメージを与えてるみたい」
「え!!?」
「だから、香水取って…って」
サナは矢庭に立ち上がると、ベッドの横にある窓を全開にして、部屋に備え付けられているクローゼットを開いてはハンガーを分捕り、着ていた制服をカーテンレールにかけ始める。
それを終えると、私の前まで来て必死な顔で訴えかけた。
「さくらさん!この部屋のシャワーの出し方さっぱりわからないんですけど教えてください!早々にお風呂入るので!!」
「お、おー…」
どうやら、本当に悪い子ではなさそうだ。