第19章 ロックオン
「さて、何の話でしたっけ?」
白々しくそう言い私の腕を掴むと嬉しそうに微笑んだ。その呼吸は多少乱れているが、肩で息をする私ほどではない。
「ほんと…何もないってば…」
「嘘は言わない約束ですよ?」
「2人には…関係、ないから…」
そう言った途端、目の前が暗くなった。
目を見開くと、視界一杯に整った顔が飛び込んできた。
「「本当に?」」
無表情の顔が詰め寄る。
背中は壁。いつの間にかまた誘導されて追い詰められていた。
息ができない。顔はあの言葉で真っ赤に染まっていく。
意識したら、そこで終わり。私は、どっちが好「あ…」
「…さくら?」
突然の眩暈が襲ってきてスチュワードの肩を掴んだ。
だが、その力も徐々になくなって膝から崩れ落ちる。…というところでアドナキエルに支えられた。
「さくら、どうしたんです?…さくら!」
「ドクター…に…」
「!スチュワード!」
「わかった!」
体が浮く。
私を抱えたまま走り出したアドナキエル。その腕の中でゆっくりと意識を落としていく。
―――――――――
ある所では、一人の人間が困惑するドクターを見上げていた。
「ドク、ター…?」
「どこから、出てきた…君は、私の事を知っているのか?」
波乱は幕を開けたばかり。
To be continued.