第14章 密室で君を知る
「な、何で笑うの…」
「いや。顔が赤いなって」
「う、煩いなぁ…!」
顔を上げるのをやめてそっぽを向く。
すると、スチュワードはまるで息を吐くように、ぽつりと呟いた。
「…可愛いなぁ」
一瞬時が止まったかと思った。ひゅ、という私の息が引っ込んだせいで止まってはいなかったんだと気付いたが。
「…へ!?」
「さくら、顔赤いよ」
スチュワードがまるで意地悪モードに入ったアドナキエルのように楽しそうだ…
いつからこの訓練は精神攻撃に耐えるための訓練になったんだろうか…
「スチュワードの意地悪…こうしてやる…」
「え?っあ、あははは!さくらっ!くすぐったい…見つかるよ!」
動けない状況下で擽り攻撃である。
しかし見つかってしまうのはよろしくない。すぐにやめて落ち着いた。
「合法的にイケメンを擽れるのは良いなぁ」
「嬉しそうな顔だなぁ…僕も攻撃しようかな?」
「ごめんなさい…!」
暇が無くなる。そう思い参加したこの訓練。
協力しながら生き残れ、というものだったが…
「…いてー…へこんだところが腰に当たって痛い」
「遠慮してこっちに来ないからだろ?ほら、おいで」
「っ!…イケメン罪すぎる…」
スチュワードとの距離は少し縮まり、精神攻撃に耐えること2時間。
解放の時はやって来た。