第3章 目の付け所_
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「…じゃあ、テメェはテメェでずっと考え続けるんだな」
「ッ!」
「俺は議論は嫌いだ。
後はテメェで納得のいくまで考えろ!」
そう言って、後ろを向く坂木部屋長
気のせいか、少し笑っていたような気がする
「さぁ、いいか!テメェら!
俺がお前らの部屋長の間は他の上級生につけこまれないよう、厳しく仕込んでやるからな!」
「「「っ…はいっ!」」」
坂木部屋長にそう言われ、俺たちは腕立て伏せの状態で返事をした
「お前らの防大ライフを最高の地獄にしてやる!!」
な、なんだよ…それ…
はぁ…とため息をついた時だった
坂木部屋長が俺たちの方を向いて顔をしかめた
「あー、汗くせぇなぁ…
耐えられねー」
「お前ら風呂行けー!」
西脇サブ長にそう言われ、風呂道具を持たされる
「で…でも、反省文が…」
「んなもん、俺たちが口きいといてやる
さっさと行け!」
半ば強引に部屋から追い出され、俺たちは浴場に急いだ
「近藤君、部屋長、怖かったけどやっぱり教えてくれたね」
風呂の帰り道、沖田が俺の横に来て呟いた
「あぁ…」
「こっちはいい迷惑だよ…ったく
ばんわっ!」
すれ違う先輩方に挨拶をしながら武井が呟いた
「今度は言う前に俺たちに相談しろよ!
こんばんはっ!」
「あぁ…すまん…」
理不尽に備える為の理不尽…か
納得はできないけれど…理由が知れてスッキリしたな…。
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