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【HQ】月島蛍の夢

第1章 おやすみ、現実


……

…………


「……しま、月島!」
「ッ!?」
自分を呼ぶ声に驚き、勢いよく上半身を起こすと、
教室は授業の真っ最中で、先生やクラスメイトが僕を凝視していた。

「どうした、居眠りか?ここの問題を解いてくれ。」
「あ……すみません……」

くそ…恥ずかしい。
いつもの僕なら、授業中に寝るなんてこと、絶対にしないのに。
さらさらと黒板に解答を書き、自分の机に戻ると、
前の席の山口が、僕の方へ体を捻って、ぽそりと呟く。

「ツッキー、今日なんか…大丈夫?」
「……。大丈夫じゃないかも」

山口は、あからさまに驚いたそぶりで大きな声を出した。

「うそっ!まずいじゃん!午後の練習参加できそう?」
「山口、うるさい。まだ授業中だぞ」
「あ…ごめんツッキー。」

僕が少したしなめると、
今度は口の横に手を当て小声で話しかける。

「…なんだか今日のツッキーぼーっとしてて心配だよ。次お昼休みだし、保健室行ってみたら?」
「…」

ああ、クラスの人間の視線が痛い。
屈辱だが、やっぱり、突然居眠りなんて僕は少し疲れているのかもしれない。

「……そうするよ。午後練には出る。一応、ヒナタ達に伝えといて」
「うん!わかった!」

すると、話を終えたタイミングで丁度チャイムが鳴った。


「それでは、今日はここまで。各自、予習復習をしておくように!」
一礼の後、皆はがたがたと椅子を引いて、それぞれの昼休みがはじまる。

「じゃあ、行ってくるから。別に大したことないと思うけど」
「うん!何かあったら、すぐ言ってね!」
「ありがとう。」

山口と軽く会話を交わし、

教室を出て、保健室に到着してドアを引くと、 椅子には養護教諭が座っていた。

目が合って口を開くより先に、軽いめまいがしたと思えば、


気づけば僕は、その場に倒れ込んでいた。

・・・・・ 

途切れる寸前の意識、慌てて駆け寄る養護教諭の姿と、
夢に交じる直前、

また、『あの子』が、僕に微笑みかけた、ような気がした。
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