第6章 君の名前を知っている
「母さん、愛衣ってどこに転校したのか知ってる?」
「え??」
会わなくちゃ。
あの子に、会いたい。
「そうねえ、隣町の○○区じゃなかったかしら。でもどうして?」
「……ッ、ごめん。僕ちょっと出かけてくる」
「!?こ、こら、待ちなさい!あなた、もし外で発作が出たら…!」
母さんの制止もきかず僕は一目散に外を走っていた。
(隣町…隣町…!ここからならバスを経由して電車に乗れば辿り着ける・・・!)
神様仏様、ああもうなんでもいいから、
お願いだ、今だけ発作を止めてくれ。
額に浮かんだ汗が頬を伝って落ちる。
飛び込むように電車に乗り、車掌のアナウンスをひたすら聞き続けた。
目的地まであと二駅というところで、突然かくんと全身の力が抜けて、
(クソッ・・・!どうして・・・こんなところで!!!)
それから睡魔が僕を包み込んだ。