• テキストサイズ

【HQ】月島蛍の夢

第5章 あの子は誰だ


目を開けると、僕はリビングのソファに寝ていた。
誰かがブランケットをかけてくれていたようだ。

僕の病気の発作について、家族の理解がある程度進んだのか、いまは突然眠っても家族がそんなに慌てることはなくなった。

「起きた?」
「うん…」
「気分はどう?」
「普通…かな」
「普通、っと。おっけー、リズム表も書いたしバッチリね」
母がさらさらと紙にペンを走らせて、
僕の方を見るとにこっと笑った。

「母さん。聞きたいことがあるんだ。
さっき寝ちゃって、聞けなかったこと。
西堂愛衣について。」

「…愛衣ちゃんのこと?いいけど…」

一呼吸置き、母は、あの子…もとい西堂愛衣についてを話し始める。

「あの子ね、家庭が複雑なの。お母さんは離婚して家を出ていって、お父さんも…一度お会いしたことはあるけど、その。あまりいい雰囲気ではなかったわ。」
「…(つまりなにかしらの問題があったってことか)」
「蛍とは、同じ幼稚園だったでしょ?それで、よく愛衣ちゃんと一緒に遊んでいるって、幼稚園の先生は言ってらしたわ。」

母はそう言うと、
アルバムのページを数枚めくってみせた。

「これは、遠足の日。これは、幼稚園の遊具で遊んでいる蛍と愛衣ちゃん」

写真を見る度、忘れていた声が蘇る。

ああそうだ。僕はこの子と会っていた。

・・・・・・
/ 43ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp