第3章 変わってゆく
(また夢の中か……)
まだまだはっきりとしない景色の中で、目の前の人影は、以前よりも鮮明に姿を映していた。
『改めて、こんにちは、月島くん』
「君は誰?愛衣って…そんな名前の知り合い居ないんだけど」
『やだな、君が1番私のことを知っているでしょ。忘れちゃったの?』
「そんなことを言われても分からないものは分からない。ここは夢なんだろ?だとすると妙にリアルな夢だね。知らない人がこんなに僕に話しかけてくるなんて」
『知らない人かあ……』
目の前の女の子は少し俯いて黙り込んだ。
(…なんだよ、その顔。まるで僕が罪人みたいじゃないか。)
「名前以外にも、君のことを知りたい。君はどこから来たの?夢の中でしか会えないの?」
『私はここにいるよ。ずっとここにいる。月島くんが願えば、夢から覚めても私と一緒にいられるし。ねえ、私を忘れないで。いつだって、月島くんの近くにあるから』
「ああもうっ、もっとわかりやすく話してくれないかな!」
しびれを切らした僕が叫ぼうとすると…
突然、全身の力が無くなっていく。
「(…く…そ…っ!どうして…いつもこんな…!)」
『今度来た時は、私の話もしようね』
(またね、月島くん)
・・・・・
その声を最後に、僕は目を覚ました。