第4章 花【進撃の巨人/エルヴィン】
「ん……んっ……」
今まで無理やりにしか出したことが無い声が自然と漏れる。無意識にエルヴィンの首へ腕を回した。身長差でだいぶ体勢が辛そうだと気付く。
「エルヴィンさん……体勢、きつくないですか……?」
「これでも一応鍛えているからね。大丈夫だよ」
「でも、腰……痛めちゃいます……」
は何かを思案するように顎に手を当てた。
「……お嫌でなければ……ご奉仕、させてもらえませんか……?」
「お前は奴隷では」「分かっています!」
エルヴィンの言葉を遮り、声を荒げた。そう言われることは分かっていたのだ。だから、きちんと言わせてほしい。そう思ったら声が大きくなってしまった。自分でも声の大きさに吃驚してしまい、徐々に体を縮こませる。
「奴隷として言っているのではなく、ただ、エルヴィンさんに、優しくされて嬉しいから、その、私もエルヴィンさんに……できること、したい……です」
「……」
「私も、エルヴィンさんの事、愛しています。だから、腰を痛めるような事をしてほしくないです。団長という立場は代わりがいるかもしれませんけど、エルヴィンさんはエルヴィンさんなので! 私に奴隷以外の生き方をくれたのはエルヴィンさんです。私の恩人はエルヴィンさんしかいません。代わりはいません。だから、お体を大事にしてほしいです」
エルヴィンが自らを省みず前線に立ち続けようとする姿を見ていた。たった三週間でも痛いほど伝わってきた。悪魔と言われ、兵士に死を命じ続け、自らもその覚悟をして作戦を遂行しようとする。きっと壁外ではもっと過酷なのだろう。自分は壁外に出たことが無い。訓練する時間が無いエルヴィンが夜中に一人で訓練しているのを見た時は、本当に体を大事にしてほしいと思った。
「君には敵わないな」
エルヴィンの体が離れると腰に腕を回されソファーに誘導された。エルヴィンがソファーに座ったのを見て、は目の前にしゃがむ。