第4章 花【進撃の巨人/エルヴィン】
部屋の外には聞こえない小声。まだ、終わらない。
「早くしないと開けられてしまうよ?」
そもそも返事をしてないのに開ける兵士は二人だけ。その二人はノックをしない。なので、開けられる事は無いのだが、それに気付かないは慌てて足音をたてないように扉へ近づき、音が鳴らないようにそっと鍵を閉めた。
一息ついて扉から離れようと振り返ると、顔の横にエルヴィンの腕が置かれた。扉とエルヴィンに挟まれ股の間にエルヴィンの足が捻じ込まれると、完全に逃げ場を失う。逃げるつもりは無いが。
「もう、抵抗しても止めてやれそうにない」
の髪を手に取り口付ける。仄かに香る石鹸の匂い。
「あまり……体を、見ないで……くださいね……」
「他の男が見た君の体を、俺には見せてくれないのは妬けるな」
「……エルヴィンさんに幻滅されたくないです……奴隷だった証みたいなものですから」
の髪から手を離し、体の輪郭をなぞっていく。
「俺は君の全てを愛しているよ。痣も含めてね。それに、残念だが痣の位置や形、大きさは既に覚えているんだよ。黒子がどこにあるのかも」
痣を服の上から優しく撫でる。今は薄くなりつつ痣もあるが、が気になっている大きな痣は消えそうに無い。幸い焼印は入れられなかったのが救い。
「いいいいいつ!?」
「君へ暴行した連中を葬り去る為に証拠として俺が記録したからだ。のうのうと生かしておく訳が無いだろう?」
のジャケットがゆっくり床に落とされた。白いシャツのボタンが胸まで開けられる。シャツをずらして首筋を露出させると、エルヴィンが首筋に吸い付く。一瞬だけ痛みがありキスマークを付けているのだと予測する。
エルヴィンの顔が首筋から離れると優しく顎を持ち上げられ唇が触れ合う。触れるだけの優しい口付け。啄む様に何度も角度を変えながら触れ合う唇。