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【激裏】愛執染着【短編集】

第4章 花【進撃の巨人/エルヴィン】


 艶を取り戻した髪と肌。健康的な肉付きのついた体。そして、無理しない程度に筋トレしている成果で、やや筋肉もついてきた腕。
 エルヴィンはそんなを抱きしめながら書類を片していく。身長差と体格差でスッポリと納まるは仕事に全く支障が無く、この状態で来客を迎えた事もある。主にノックをしないリヴァイとハンジの時だが。
 は気付いて降りようとした事もあるが、そのたびにエルヴィンが力で阻止してきた。なので、休憩が終わるまでエルヴィンの膝の上から動くことは無い。お互い困ってもいないので、何も問題無かった。寧ろエルヴィンはが膝の上にいる時の方が、仕事が捗った。稀に助言をくれるのもある。

「次の壁外調査で、知性のある巨人は現れると思うか?」
「確実に来ます。エレン様……エレンさんの身柄を欲するならば、巨人として目立たずに動ける壁外は確実に仕掛けたいと私なら思います」

 様付けに関しては矯正されていた。だが、まだまだ出てしまう。

「何人死ぬと思う?」
「良くて四割。悪くて五割と言った所かと思います」
「俺は」

 本音を言う時の声に気付いてエルヴィンの顔を見る。抱きしめられる力が強くなった。

「悪魔だと思うか?」
「悪魔になるしか無かった、が正しいですよね? いつの時代も、悪は必要です」
「本当には俺が欲しい言葉をくれる。ありがとう」
「私は思ったことを伝えているだけに過ぎません。私は、奴隷という生き方しか知りませんでした。何もかも冷たい檻の中。暴力が怖いから相手に許しを請う毎日。それでも飛んでくる拳をただ受け入れる。回避するのは簡単でしたが、受け入れないと他の奴隷が暴行されてしまう。そんな毎日から救われて感謝の言葉もありません」
「時々、君がまだ十四歳だという事を忘れそうになるよ」
「老けていますか?」

 静寂が訪れた。
 はすっかり温くなったコーヒーを飲み干す。

「」
「はい」
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