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【激裏】愛執染着【短編集】

第4章 花【進撃の巨人/エルヴィン】


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 あれから三週間。足の骨が完全に完治していないので、松葉杖をついてはいるが、自力で歩ける程に回復した。まだ包帯が取れていない箇所があるが、エルヴィンの秘書として調査兵団に正式加入をし、日々書類整理に追われている。
 その頭脳は兵団内でも重宝され、新兵器や戦術、訓練方法、食事のメニュー等彼女の意見が取り入れられ、当初はいやがらせ等もあったが今では不平不満を言う者はごく一部となった。
 怪我のせいで兵士としての訓練は行えていない。
 だが、出来る事は多い。気配りが上手い為、頼もうとした物は既に終わらせているのだ。気配に敏感で足音で来客の区別をつけ、必要な物を用意して出迎える。

「やほー!」

 ノックせずにエルヴィンの執務室へ入るハンジ。は用意しておいたコーヒーと昨日焼いておいたクッキーを差し出す。

「ノックをしろ」
「ごめんごめん。の意見が欲しくてね」

 そう言ってハンジは装置の図面を取り出した。巨人を捕獲する為の装置。それを眺めた。

「このままだと速度が足りません。巨人の体を貫通させて木に刺すんですよね? この射出速度では貫通しないと思います。あと、荷物に見えないので、何らかの装置だと気付かれます」
「やっぱりそう思うよね……ありがとう!!」

 ハンジは踵を返して走り去った。開いたままの扉を閉め、ハンジが使ったコーヒーカップを片付けながら、エルヴィンにコーヒーを淹れる。部屋に広がるコーヒーの香り。林檎の皮を剥き一口サイズに切るとフォークを添えコーヒーと共にエルヴィンに差し出す。
 自分用にミルクを入れたコーヒーを手に、定位置となったエルヴィンの膝の上へ座る。仕事をするようになってから、ソファーを使うのが申し訳なくて、立ったまま休憩を取っていたのだが、見兼ねたエルヴィンが奉仕と称してそうするよう言ったのだ。
 長かった髪は肩下で綺麗に切りそろえられている。それは過去への決別という意味も含まれていた。
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