第10章 真選組の仕事
「斯く斯く云々で」
「柳生家に乗り込んでるって事ですか?」
「そうみたい。でも、それより大変なんだよ、これ見て!」
そう言って山崎は自分の携帯電話を遼に見せる。
「着飾った……ゴリラ??」
「局長のお見合い相手だよ」
「…………は?」
「松平のとっつぁんが、局長に持ってきて見合いしたんだけど、どうやら向こうは乗り気みたいでさ。纏まりそうなんだよねこの話」
「え?いやでもゴリラですよ。大きめの」
遠い目をした山崎に、遼は「流石にそれはないでしょう」と突っ込むが、山崎は「でも俺たち、権力には逆らえないから」と、肩を落とした。
「まあでも、いざとなったら皆で妨害でもすれば良いじゃないですか」
「遼ちゃんって、時々すごい大胆な発言するよね」
「人生なるようにしかなりませんから」
あっけらかんと答えた遼に、山崎は「俺もそのくらいポジティブになれたらなー」と、羨ましがる。
「取り敢えず山崎さん。見廻りに出ましょう」
「早く早く」と急かされ、二人は慌ただしく屯所を出発した。