• テキストサイズ

暁の契りと桃色の在り処 ー香ー

第12章 始めの一歩


『政宗、家康。いつ安土に呼んでもいいように、国の政を整えよ。

じゃじゃ馬娘がいるからな、すぐに呼び戻すだろう。』

『はっ。』

『気をつけてな。』

『秀吉、光秀、信長とあさひ、城を頼むな。』

『迷惑かけるんじゃないよ、三成。』

『はい、またお会いしましょう。』

「政宗、家康!」

あさひは二人に駆け寄った。

「体、気をつけてね。無理しないで。ちゃんと食べてね。」

『大丈夫だ。』

『あんたに言われたくない。』

「私、頑張るから。認めて貰えるように頑張るから…」

『頑張りすぎるなよ。』

『無理しないでよね。風邪引く。』

「ふ、二人とも! 腕輪、…見せて。」

『あ、あぁ。』

『はい。』

二人はあさひに左腕を出した。
黄色と青の腕輪が見えた。

すると、あさひは政宗と家康の腕を順に両手で包み、腕輪に口付けをした。

『なっ!』

『わっ!』

『ほう…、我が弟子は突拍子もない。』

『あ、おい!あさひ!』

『なんと、羨ましい…』

喜び驚く政宗と家康。
ニヤリと笑う光秀。焦る秀吉と、頬を染める三成。
眉間に皺を寄せる信長。


「いってらっしゃい。また会おうね。」

『あぁ、行ってくる。』

『行ってきます。』

二人は信長に一礼する。

『この口付けを糧に励め。
…早くもどれ、じゃじゃ馬娘が。』

『暫し戻ります。』

『何用かありましたらすぐご連絡を。』

『あぁ、それまで息災でな。』

『じゃあ、秀吉、光秀、三成、頼むぞ!』

『よろしくお願いします。』

二人は馬に颯爽と乗ると、進み出した。


「気をつけてね! また会えるの待ってるから!
あ、会いにも行くから! 
二人に負けないくらい、私、頑張るからね!」


あさひは、声をかけると、政宗と家康が見えなくなるまで手を降った。


『さぁ、行くぞ。』

信長はあさひの頭をなで、胸に引き寄せた。
あさひの頬を涙が流れた。

『俺たちがいるだろ。またすぐ戻ってくるさ。』

『指南を続けるぞ。』

『お支え致します。』

「うん。 またよろしくお願いします。」

あさひはそう言うと、一歩踏み出した。



/ 59ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp