• テキストサイズ

【鬼滅の刃】夢の中で

第2章 帰郷


マズイ。


あの日からアオイさんは前にも増して、テキパキと働いている。


「あっ!おい、、、!」


伊之助と廊下ですれ違ってもスタスタと足早に通り過ぎていく。


「、、、これは、マズイ、、、!」


俺は廊下の隅から見える伊之助の呆然とした顔を見て思わず目を覆った。


以前、、、
初めてここへ来た時もそうだと言えばそうだった。
必要以上のことは言わない。用事がなければ話さない。
用事があってもテキパキと言うべきことを並べたてたら去って行く。
それがアオイさんだ。



真面目で自分のことよりも他人を優先して、いつもどこか張り詰めた音を出している女の子。



だけど、俺は気づいていた。
目が覚めたその日、その瞬間から!


伊之助とアオイさんの間に流れる何とも言えず穏やかな、それでいてどこか緊張感のある音に。


そしてあのアオイさんが忙しい合間を縫ってたまーにだけど、伊之助とは余計なことも話していることに。




「フッ!この俺の耳はごまかせねぇぜ?」





なんつって!!
ベッドの上から動いちゃいけないから、唯一そんな2人の様子を覗き見るのを楽しみに過ごしていたのに!!



「、、、うぅ、グズッ、伊之助、、、ごめんよー」


少しボーッとした後にフンッ!と鼻を鳴らして立ち去る伊之助の背中を見ると鼻水が垂れた。



目が覚めたら色んなことが変わっていて。
居なくなってしまった人達のこと。
特にしのぶさんが居ないことが俺は未だに信じられなくて。



ただ思い出したかったんだ。
それはきっと伊之助も同じで。



まさかアオイさんに見られていたなんて。


「あれじゃまるで、伊之助がしのぶさんのこと好きみたいじゃん。俺の馬鹿〜!!」


思わず自分の頭をポカポカと叩く。



アオイさんが伊之助を見る時の穏やかな音。
あれはきっと。
そうなのに。
そしてきっと。



「伊之助だってきっと!」



俺はアオイさんがいるであろう台所へと向かった。


/ 49ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp