第1章 戦いの後

「って、そんな事があっただけだ」


ゴゴ、、、


「？」

全部話した。
話したところで紋逸からおかしな気配を感じた。

「そんな事、、、だと？」

紋逸が低く曇った声を出す。

「だけ？？」

「あ？」

「アオイさんと、、、っ！女の子と2人で出かけたなんてことを、そんなこと？だけ？とは何だァ！！？」

紋逸はそう叫ぶや否や、俺に飛びかかってきた。

「ハァン！？何言ってんだ、この、、、っ」

「デートだろ！それはデートだろ！？このやろ、女の子になんか興味ないって顔して、結局テメェみたいな顔が良い奴がいつだって得すんだよ！！むかつくんだよォ！！」

「でえと？何だそりゃ！アオイとそんなことをした覚えはねェし、たかが市場に買い出しに行っただけだっつってんだろーが！」

「たかが市場ァ？？ふっざけんな、市場に男女が買い物に行くなんて、新婚夫婦がすることだろーが！！今日の夕飯何する？なんつって、イチャコラ惚気まくってる2人が言い合う場所だっつーの！！！」

「ハァ、、、？」

めんどくせぇ。こうなった紋逸はたぶん止まらねぇ。
俺はもう反論するのをやめることにした。


「あーあー！俺だって女の子とデートなんかしたこと無いってのに、これだから男前は、、、それにサラッとアオイさんのピンチを助けるなんて、、、そういうところが更に、、、くぅー」

怒っていたと思えば今度は鼻汁垂れ流しながら泣き出した。

「わけわからん奴だな、、、」

「わけわからんっ！？お前にだけは言われたくねぇんだよっ！この猪っ！！っつか、アオイさんが虐められたのだって、伊之助にも原因があるだろ、絶対！！」

そして再び怒り出す紋逸。

「はぁ？俺のどこに原因があんだよ？」

俺は苛立ちながら尋ねた。

「テメェがそんな上半身裸に猪なんか被った、わけわからん格好してるからだっつってんだよ！このバカ！しかもせっかく可愛い着物を着たアオイさんを、こんな隊服なんかに着替えさせやがって！俺も見たかったよォ！この鈍感！アオイさんが可哀想だ！アンポンタン！！」

「ハァン！？動きやすい格好が1番良いに決まってるだろーが！」

「女の子はそうじゃねェんだよ！なんっで分かんないかなぁ！？」

「わっかんねェよ！もっと分かりやすく説明しろ！バカ！」

「だーかーらー！！」