第33章 蝶の舞
童磨はすぅ、と目を細め、扇を素早くカナヲの瞳に向けて振り下ろす。
童(とりあえず目潰しとこ。)
カ「!!」
カナヲは自身の瞳に向けて振り下ろされる扇に驚き、目を見開く。
目を潰されるのはダメだと理解しており、避けなければならないが身体が動かない。
カ(目は、ダメ。避けないと。間に合…)
──ガッ
カ「桜柱さま…!!」
童「!!やぁ、杏ちゃん遅かったじゃないか。もう少しでこの子の目が無くなってたとこだったよ。」
童磨はカナヲの瞳に向けて振り下ろしていた扇を叩き落とした杏を見てニヤリと笑う。
『黙っててください。カナヲちゃん、少し下がって。』
カ「はい!!」
杏の指示を聞いたカナヲはすぐに童磨から距離をとり、日輪刀を鞘にしまう。
童磨は自分に対して冷たく吐き捨てる杏の右側の首筋に濃い桃色の桜のような痣が発現しているのを見て目を見開く。
童「あれ??杏ちゃんなんか痣みたいなのできてるよ??さっきまではなかったのに…って、わぁ!!」
ー 蟲の呼吸 蜂牙ノ舞 真靡き ー
呑気に話す童磨に杏の後ろからしのぶが技を繰り出す。