第33章 蝶の舞
一度鞘に収めた日輪刀をチャキッ、と構え、自分と向かい合っている女剣士を見つめた。
童(この娘…ややもするとあの柱の娘より実力があるのかもしれない。)
一方で、童磨を睨みつけるカナヲも想いを巡らせていた。
カ(鳥肌が止まらない。指先まで力を込めていなければすぐに体が震え出す。コイツに比べたら今まで倒してきた鬼は赤子だ。この激しい怒りのおかげで立っていられる。体が燃えてるみたいに熱い。喉の奥がぐつぐつ煮え滾る。絶叫したいくらい不快で堪らない。暴れ回らなきゃ体がバラバラになってしまいそう。)
ぎゅうっ、と握る日輪刀からミシミシと嫌な音がなる。
カ(生まれて初めての感覚に眩暈がする。怒りを通り越してこれは憎悪だ。…憎い。よくも殺したな私の肉親を!!)
キッ、と殺意のこもった瞳で童磨を睨み付ける。
そんなカナヲの視線に目を細めながら笑う童磨は先程までとは打って変わって穏やかに話しかける。
童「怖いなぁ。そういえば、君の名前聞いてなかったね。教えてくれない??」
カナヲは昂る心臓を抑えながらゆっくりと口をひらく。
カ「私は…栗花落カナヲ。胡蝶カナエと胡蝶しのぶの妹だ…。」