第32章 最愛
メキメキと音を立て再生していく身体。
猗(頸を斬られたから何だ??勝負??関係ない。皆殺しにしてやる。)
グッ、と拳を握る。
猗(俺はまだ強くなれる。約束を守らなければ──…)
そのとき、そっ、と猗窩座の顔に誰かが優しく手を添えた。
── 恋「狛治さんありがとう。もう十分です。」
かつて愛し、守ると誓った最愛の人の姿。
── 恋「もういいの。もういいのよ。」
鬼「猗窩座!!」
鬼舞辻無惨が猗窩座の名を叫ぶが、狛治はもう間違えない。
狛治の姿に戻りながら、その瞳から大量の涙が溢れ出す。
目の前の愛しい人を強く、強く抱きしめた。
狛「ごめん!!ごめん!!守れなくてごめん!!大事な時傍にいなくてごめん!!約束を何ひとつ守れなかった…!!許してくれ!!俺を許してくれ!!頼む!!許してくれ…!!」
泣きながら懺悔する狛治の頭を優しく撫でながら恋雪は微笑む。
恋「私たちのことを思い出してくれて良かった。
元の狛治さんに戻ってくれて良かった…。」
涙を零す恋雪。
恋「おかえりなさい。あなた…。」
その言葉を聞いた狛治──…猗窩座の身体の再生が止まった。
炭「あ…。」
猗窩座の身体の変化に炭治郎は小さく声を漏らす。
──バサ…
猗窩座の身体を崩壊していった。
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