第32章 最愛
猗(弱い奴が嫌いだ。弱い奴は──…正々堂々やり合わず井戸に毒を入れる。
醜い、弱い奴は──…
辛抱が足りない。すぐに自暴自棄になる。"守る拳"で人を殺した。師範の大切な素流を血塗れにし親父の遺言も守れない。
そうだ。俺が殺したかったのは──…)
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炭(まずいまずいまずい!!刀が飛んでった!!
殴ったくらいじゃ止まらない!!)
猗窩座が"殺したかったの弱者”を思い出していたとき、炭治郎は唯一の武器である刀が飛んでいったことに焦っていた。
炭(猗窩座は煉獄さんに使った滅式を出そうとしてる!!義勇さんを連れて攻撃圏外に…!!)
その技の威力を目の前で見たことのある炭治郎は生き残るため、冨岡の元へと走る。
冨岡は自分のことまで守ろうとする炭治郎に声を荒げる。
冨「構うな!!俺に…」
──ダンッ
しかし、止まらなかった炭治郎は冨岡に抱きつき、そのまま後方へ跳ぶ。
跳びながら何とか後ろを見た炭治郎の視界に映ったのは、自分に笑みを向ける猗窩座の姿だった。
──ドガガガガガ