第5章 花屋敷
時「いいんですか??」
『もちろんです。銀子ちゃんにも美味しい胡桃がありますよ。サクラのお気に入りです。』
時「それじゃあ、お邪魔します。」
杏の勧めに草履を脱ぐ時透。
肩の上の銀子もうれしそうだ。
『私は無一郎くん用におはぎとお抹茶準備してきますね。不死川さん、春の間に案内しててください。』
不「あぁ。」
時「今日は春の間なんですね。」
『えぇ、今は杏の花たちがとてもキレイなんです。』
時「杏さんのお菓子もお庭も好きなので楽しみです。」
そんな時透にふわりと微笑み、台所へ向かう。
──カチャカチャ
先程と同じようにお盆におはぎと茶碗、銀子用の胡桃を乗せていく。
杏と時透無一郎は記憶喪失仲間だ。
時透が鬼殺隊にやってきたのは杏が13歳、時透が11歳のとき。
杏が入隊して1年で柱となった頃、お館様に産屋敷邸に呼ばれた。
──────────────────
お「杏、無一郎と話をしてあげてくれないか??」
『話…ですか??』
優しく微笑むお館様と首を傾げる杏。
お「無一郎は今、記憶をなくしている。
君と同じだ。」