第32章 最愛
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炎柱 煉獄杏寿郎の仇である上弦ノ参 猗窩座と水の呼吸の兄弟弟子 炭治郎と冨岡との対決。
その対決は、"透き通る世界”を会得した炭治郎が遂に猗窩座の頸を斬り落とした。
炭治郎に頸を斬られた猗窩座は人間だったときの記憶を思い出していた。
猗(鬼になって記憶を無くし、また俺は強さを求めた。守りたかったものはもう何一つ残っていないというのに。家族を失った世界で生きていたかったわけでもないくせに百年以上無意味な殺戮を繰り返し
何ともまぁ
惨めで
滑稽で
つまらない話だ。)
人間だった頃、大切だった父親と師匠、そして愛したひと。
猗(死んだところで3人と同じ場所には行けない。)
大勢の人間を殺した猗窩座が逝くのは3人のいるであろう天国ではなく、地獄。
猗(よくも思い出させたなあんな過去を。
人間め。)
目の前でボロボロになりながらも折られた日輪刀を構える冨岡の姿。
猗(柔く、脆い、弱者。すぐ死ぬ。壊れる。
消えてなくなる。)
そのとき、壁に弾き飛ばされ意識を失っていた炭治郎が目を覚ました。