第32章 最愛
目を撒き終えた愈史郎が先導して走り出す。
それに続いて走る鬼殺隊士。
目指すは上弦ノ肆。
隊士たちも気をつけてはいるが、突然動く建物の対処に疲れの色が見えてきた。
「くそっ、」
だんどんと激しくなっていく妨害。
愈「上弦ノ肆がこの建物を動かしているんだろう。俺たちが近づくことがどうも嫌らしい。」
祈「そのようですね。」
珠「しかし、おかしくないですか??」
音「何がですか??」
走りながら会話する愈史郎と祈里に背負われた状態の珠世が疑問を呈する。
珠「鬼舞辻無惨はより多くの鬼殺隊士を上弦の鬼たちに殺させたいはずなのに近づかせないようにしているのはおかしいと思うのです。」
愈「流石です!!珠世さま!!」
祈里と音羽も珠世の考察に確かに…、と頷く。
祈「…となれば、このまま皆で行くべきですね。それが嫌だというのならば嫌なことをして差し上げましょう。」
音「賛成。」
音羽は小さく頷くと、後ろから来ている隊士たちに大きな声で指示を出す。
音「皆さん!!もう少しで上弦ノ肆のいる所に辿り着きます!!妨害は更に厳しくなると思われますが、心して参りましょう!!」
「「「はい!!」」」
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